脳は大切に守られている

はじめまして、Shunと申します。

この度 Brain Me!!というブログを開設しました。

脳・神経の疾患に対する新薬開発 (創薬研究) に従事しているため、内容は脳・神経関連の話が多くなる予定。

ブログ内容 (予定)
● CNS Drug Deliveryについての各論と最新研究の記事
● 神経疾患ヘルスケア関連の記事紹介 (ex: Brain Tech)
● 脳関連の素朴な疑問Tips
● 雑記

脳を守る三種のシステム

記憶、情動、五感、運動機能…どれも私たちが生きていく上で欠かせない機能です。
これらを司るのがであり、人間が人間らしく振る舞う上で最も重要な部位と言っても過言ではありません。それゆえに、は大事に大事に守られています。

脳を守る三種のシステム

  1. 頭蓋骨
  2. 血液脳関門
  3. 脳脊髄液

①頭蓋骨

頭蓋骨は15 種 23 個の骨が組み合わさり成り立っています。特に、脳を外界から保護する部位は脳頭蓋と呼ばれ6種8個の骨により構成されます。

もし脳頭蓋がなければ皮膚と皮下組織しかありませんから、頭蓋骨は言わずもがな外界からの異物侵入を防いでくれていますね。

詳細は下記リンク先よりどうぞ。
参考 口腔解剖学医師薬出版株式会社

注意
解剖学の知識はほとんどありません…泣

 

②血液脳関門 (BBB: Blood Brain Barrier)

脳が機能するためには酸素や糖分 (グルコース) の恒常的な供給が必須です。これらエネルギーの元となる物質は血液から供給されます。

しかし場合によっては、血液中には細菌やウイルスが存在することもあるでしょう。もしも脳に異物が侵入してしまえば炎症反応が引き起こされ、生体は危険に曝されます

安心してください。そう簡単に危険な状態に陥らないようなシステムが備わっています。


それは血液脳関門と呼ばれ (研究現場ではビービービーと呼ぶことが多い)、血液からの物質の流入を堅く制限しています。

血液脳関門については後で少し掘り下げます。

③脳脊髄液 (CSF: Cerebro-Spinal Fluid)

脳脊髄液 (以下CSF) は脳と頭蓋骨の間を満たしている、無色透明の液体です。
主に3つの役割があります。

  • クッションとして働き、柔らかい脳の形を保つ
  • 脳の水分を調節する
  • 脳から産生された老廃物を排出する

ジャンプして頭が揺れたとしても、CSFが緩衝材となるので頭蓋骨と脳が衝突してしまう…なんてことを防いでるんですね。

脳内と物質のやりとりを最も密に行なっている液体成分であるので、CSF内のあらゆる成分を調べることは、脳・神経疾患の発見に繋がることがあります。そのため、検査目的で腰椎穿刺によりCSFを採取することは臨床でもよくある事なんです。

脳脊髄液の流れなどについては、下記動画が分かりやすいと思います。ご参考まで。

ホネくん

脳はとても大切に守られているんですね〜
身体の内側からも守られてるのがミソじゃよ

ミソ先生

薬は脳へ届きづらい

紹介した3つのシステムは脳を正常に保つためにどれも重要ですが、本項では2番目に紹介した血液脳関門 (以下BBB) について掘り下げます。

脳に悪影響を及ぼす (であろう) 物質が血液中から脳に移行することを制限していることからBBBと呼ばれています。

文字通り関門です。

BBBの実態ーそれは血管内皮細胞と密着結合ー

その実態は脳に張り巡らされた血管内皮細胞 (ECs: Endothelial Cells)です。内皮細胞 (以下ECs) は薄く平べったい構造で、血液に面している細胞のことを言います。

肝臓や腎臓等の血管にももちろんECsが存在しますが脳のECsはとりわけ強固な構造を有しているので、脳との物質交換が制限されているのです。

この脳ECsに特徴的な構造はECs同士が密着結合 (TJs: Tight Junctions) を形成していることに由来します。

注意
厳密に言えば以下の動画にあるように、BBBを構成する細胞にアストロサイトやペリサイトも含まれますがここでは説明しません。

BBBは薬も通さない

BBBは細菌やウイルスを通さないので、身体を危険から守るシステムであると述べました。

しかし、それは良いことだけではありません。病気の治療に使う薬も時には制限してしまいます。

面白い実験があります。マウスにヒスタミン (花粉症などアレルギー反応を介在する物質) を静脈内投与すると、不思議なことに脳と脊髄からはヒスタミンが全く検出されなかったのです。

以下画像参照。

引用
黒部分: ヒスタミンが検出された部位. 検出: 放射標識分子イメージング. Brain: 脳, Spinal Cord: 脊髄.  W.M. Partridge, NeuroRX. 2: 3-14 (2005)

さらに驚異的なのは、低分子化合物の98%以上大きな分子ではほぼ100% (ペプチド・核酸・抗体等) BBBを越えて脳に入ることが出来ないという事実です。

ミソ先生

アルツハイマー病の新薬がなかなか出来ない一因じゃ

まとめ

  • 脳は3種のシステムで守られいる
  • BBBは脳の血管内皮細胞が密着結合することで形成されている
  • BBBは新薬の候補となる物質のほとんどを脳へと通さない

脳には異物の侵入を防ぐバリアー (BBB) がある

次回は、BBBを突破するための打ち手 (CNS Drug Delivery) について概論を書いてみる予定です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください